シャアが去った後のスオラの元気の無さは相当なものだった。

人間に甘えられない猫。

その寂しさは想像するに余りある。



さすがに2日目になるとソファーの下から出て
他の部屋を歩き回るようになったが
シャアを探しているのか
あちこちでにゃーにゃーとずっと鳴いていた。

その声を聞くと余計に悲しかった。


いろんな遊び道具やおやつなんかで
なんとか気をひこうとする僕たち夫婦だったが
何年経ってもなつかない猫はなつかないという話も聞き、
とにかく怖くないんだぞということをアピールするために
ゆっくり、驚かさず
慎重にスオラと接した。


やがてスオラは少しずつだけど以前の動きを取り戻してきた。
紐で遊んだりもするようになってきた。



そして・・・・

僕はなんとか距離を縮めたいと思い
勇気を出してある行動に出た。

ソファーの下で寝ているスオラに
棒でナデナデをして、
気持ちよさそうにしてる時に、すかさず手でなでたのだ。

スオラが来てから1か月以上経過して
初めてその体にタッチした瞬間である。


もう感涙。


スオラはすぐに異変に気づいて逃げたものの
それ以降、僕たち夫婦はこの作戦でスオラをなでることに成功するようになった。



ソファーの下以外では、絶対に触らせてくれないが
このタッチ以降、スオラのリラックス度は急速に高まったようで
以前では考えられなかったが
最近では甘えた声で鳴きながら数メートルの距離まで
寄ってくるようにもなったのだ。
(もちろん、こちらが動くと猛ダッシュで逃げていくが・・・)


いずれにしても、これは大変な進歩だ。

あのスオラがなついてくれるかもしれない・・・

夫婦の期待はガゼン高まったのだった。


こうしちゃいられない。

頑張ってあれも作らないと・・・



( おしまい )





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