『新たな試練』


事件だった。

それは、こた家全体にかかる事件だが・・・
7月に夫婦に子どもが産まれたのだ。

そして、子どもが産まれてから1ヶ月の間
嫁は里帰りをすることになった

それはスオラにとっては未体験の日々だった。



今まで常に家にいた人がいない。
朝、オッサンが会社に出てから夜帰ってくるまで
日中ずっと自分一人なのだ。

さすがにこの孤独はつらかったのだろう。

それまでオクサンにしかほとんどなつかず、
オッサンはただの不審者として警戒していたスオラも
オッサンに甘えるようになったのだ。

毎晩帰ったら玄関先まで様子を伺いに来て
ニャー(メシクレ)と足元に擦り寄ってくる。
かわいくてたまらない。

朝、遅刻しそうであわてて玄関を出ていくのを、
廊下の奥からじっと見つめている。
せつなくてたまらない。

だからオッサンもついつい甘やかして、
今までオクサンに厳しく管理されていた食事も
欲しがるままに与えてあげるようになり、
テレビを見ている時もパソコンをしている時も
常にそばでゴロゴロしているスオラを撫でてていた

     

そんな2人の関係は、相思相愛。
都会のマンションの片隅で
毎晩、誰にも邪魔されない2人だけの時間が流れていた。

しかし、
当然ながらその関係にも終わりが来る。


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